トットリッチ 岡田ユアン

ブックデザイン


土曜美術社出版販売

岡田ユアンの詩集『トットリッチ』の装幀は「夜とも朝ともいえない曖昧な時間に聞こえた鳥の鳴き声」を最小限の図形と文字で構成した。グレーのラシャ紙にホワイトとシルバーの印刷を施すことにより様々なグレーの色合いを実現した。帯は晒クラフトの艶面に色調の異なるグレーを印刷している。丸背の本体の表紙には青みのあるグレーのはなだを選び、時間の経過を暗示し、鮮やかな黄色の見返しと花布は、空に射す明るい光の輝きのように読者の意識の覚醒を促す。玉しきを使用した扉はべールのように美しい。

『トットリッチ』の装幀は第47回造本装幀コンクール日本印刷産業連合会会長賞を受賞し、ドイツ・ライプツィヒで開催された「世界で最も美しい本コンクール 2014」でも栄誉賞をいただきました。ドイツの本と文字の博物館 German Museum of Books and Writing に収蔵されています。この本の装幀を依頼してくださった著者の岡田ユアンさん、版元の土曜美術社出版販売の高木祐子社主、様々な要望にご対応いただいたモリモト印刷様、編集協力してくださった詩人の一色真理先生にお礼申し上げます。